“頭のよさ”と非認知能力を伸ばす方法。認知特性タイプ別の遊び方・学び方
2026.04.22
子どもの自己肯定感を育むには、一人ひとりの認知特性に合った関わりが大切だ。ここでは『認知特性タイプ』それぞれにおすすめの遊び方と学び方を解説。さらに年齢別の伸ばし方や、認知特性Q&Aも掲載。子育てにすぐ役立つ、親子で一緒に実践できるヒントをお届けする。
1.認知特性タイプに合った遊び方/学び方
・視覚優位:見る力の強さ カメラタイプ
・視覚優位:見る力の強さ 3Dタイプ
・言語優位:ことばの強さ ファンタジータイプ
・言語優位:ことばの強さ 辞書タイプ
・言語優位:聴覚優位:聴く力の強さ ラジオタイプ
・聴覚優位:聴く力の強さ サウンドタイプ
・番外編 身体感覚優位タイプについて
2.認知特性を活かした年齢別“頭のよさ”の伸ばし方
・2~3歳
・4~5歳
・6~9歳
・10歳~
3.教えて本田先生!認知特性Q&A
子どもの自己肯定感を高める!
認知特性タイプに合った遊び方/学び方
前回の記事では“頭のよさ”と非認知能力を伸ばす方法、そして、子どもの好き・得意を活かすヒントとなる『認知特性』について解説した。
今回はその認知特性をヒントに、その子に合ったやり方を見つけることで、子どもの自己肯定感を高めながらいろいろな可能性を伸ばしていける。各タイプにおすすめの遊び方/学び方を紹介する。
視覚優位:見る力の強さ
カメラタイプ
<遊び方>
色や形を捉えることが得意なので、パズルや『ミッケ!』のような視覚探索絵本がハマりやすい。お絵かきをしたり、自分のお気に入りのものを眺めるのが好きなので、飾れる場所を用意してあげると喜ぶ。トランプの神経衰弱も得意分野なので、自信につながるはず。
<学び方>
絵本や図鑑など、イラストや写真の多い本で学ぶと吸収しやすい。数や計算も、視覚からイメージしやすい方法で教えると理解がスムーズ。部首のパーツから漢字を完成させるパズルなどもおすすめ。
視覚優位:見る力の強さ
3Dタイプ
<遊び方>
見たものを立体的に捉えることが得意なので、立体で組み立てられるブロックやプラレール、立体フィギュアなどを気に入りやすい。絵も立体的な描き方ができる。映像のワンシーンを思い浮かべて再現するような遊びも好き。
<学び方>
視覚からインプットできるので、動画を使った学びはおすすめ。図に描いて説明するのも理解が早い。ビジュアルで記憶したり思考したりするため、複雑な話や文章を理解するのが苦手なことも。話すときは結論から先に伝えるとスムーズ。
言語優位:ことばの強さ
ファンタジータイプ
<遊び方>
想像力を活かしたごっこ遊びやおままごとが大好き。自分でお話を作ったりアレンジしたりすることも好きなので、聞き手になってあげるとさらに創造力が育まれる。連想ゲームやスリーヒントゲームなども楽しめる。
<学び方>
文字や文章を頭の中で映像化して理解するので、物事をエピソードと一緒に覚えるのが得意。例えば「貸す」という漢字は「代わりに貝を貸す」といったように、成り立ちやお話と一緒に覚えると記憶に残りやすい。
言語優位:ことばの強さ
辞書タイプ
<遊び方>
読書が好きな子が多いので、いろいろな本にチャレンジを。物事を論理的に言語化できるので、「これはどうしてだろう?」と考えることも楽しめる。文字とお題に合った言葉を素早く言う「ワードスナイパー」のようなゲームも好き。
<学び方>
聞くだけだと覚えられないので、必ずノートを取ったり書いたりして覚えるとスムーズ。論理的に考えたり説明されたりするのが好きなので、質問されたら論理立ててしっかり説明を。漢字は成り立ちや意味などと合わせて学ぶのがおすすめ。
聴覚優位:聴く力の強さ
ラジオタイプ
<遊び方>
おしゃべりを通した言葉遊びが好きなので、しりとり、語呂合わせ、逆さ言葉、回文といった遊びを楽しめる。音をよく理解できるので、かるたも自信のもとに。目隠しして生活用具の音を叩いて聞かせる「音当てゲーム」もおすすめ。
<学び方>
本を読むときは黙読よりも音読の方が、聞いて理解する特性を伸ばすことができる。ことわざかるたなど、音と一緒に文字を覚えるゲームがおすすめ。『きくきくドリル』などの聴覚を使った勉強法も有効。
聴覚優位:聴く力の強さ
サウンドタイプ
<遊び方>
音やリズムを理解するのが得意なので、楽器のおもちゃや、太鼓などのリズムで遊ぶおもちゃ・ゲームにハマりやすい。歌と一緒に手遊びをしたり、リズムに合わせて踊ったりと、身体を動かすことも楽しめる。
<学び方>
メロディーをつけると覚えやすいので、九九や語呂合わせに歌やリズムを付けると効果的。目で見た情報をまとめるのが苦手なので、黒板の写しやノート取りに苦戦する可能性も。「耳からの勉強法」でサポートしよう。
番外編
身体感覚優位タイプについて
これまでの認知特性で出てきた視覚・聴覚以外にも、「身体感覚」に優れている子どももいる。読んだり、見たり、聞いたりすることがなかなか覚えられなくても、ダンスやスポーツなど、身体の動かし方はすぐに覚えられるという場合は、身体感覚優位タイプだといえる。
その場合、空中に文字を描く「空書(そらがき)」で書き順を確認したり、九九を覚える際に歩きながら繰り返したりと、身体を動かしながら記憶すると身につきやすくなる。
認知特性を活かした
年齢別 “頭のよさ”の伸ばし方
偏ったモノサシにとらわれずに、自分の「好き」や「得意」を見つけて活かしていける――そんな“頭のよさ”を伸ばすためのポイントを、年齢別に解説する。
2~3歳

言語が発達してきて、個性や好きなことが見えやすくなる時期。認知特性タイプを意識しながら観察してみよう。また、この時期は“頭のよさ”の土台となる「五感」と「身体」を育てることがとても大切。いろいろなものを見て、聞いて、触って、運動して、世界を体験させることが、運動発達と知的発達のベースとなる。
4~5歳

ルールのある遊びができるようになり、コミュニケーション力も発達する時期。優位性の高い認知特性タイプに合ったさまざまな遊びを一緒に楽しむことで、「好き」や「得意」を伸ばしていこう。また、認知特性とは別に、集中力、継続力、創造性といった非認知能力を伸ばすサポートをすることで、さらに可能性が開花しやすくなる。
6~9歳

学校での学びを通して、得意・不得意が見えやすくなってくる時期。学び方が認知特性に合っていないようなら、優位な認知特性を活かした学び方でサポートを。ただし、小学校高学年くらいまでは成長による変化も大きい。「この子はこのタイプだから」と決めつけず、「変わってきたな」と思ったらその都度チェックを。
10歳~

論理能力や言語能力がより発達し、認知特性タイプの違いがはっきり見えてくる時期。認知特性に合わないことを押し付けないよう注意したいが、逆に「この認知特性が優位だから、これをやりなさい」という押し付けにも注意。あくまで本人が好きなこと、やりたいことに、認知特性をどう活かしていくかを考えよう。
教えて本田先生!
認知特性Q&A
認知特性について解説してくださった本田先生に素朴な疑問を聞いてみた。

認知特性タイプは、生まれつき
決まっているのでしょうか?
基本的には生まれながらに持っている個性です。ただし、環境や学習によって後天的に発達していく部分もあります。例えば近年では、動画メディアの発展で、本来の視覚優位者の特性は持っていないけど、視覚処理が非常に得意という人も増えています。
認知特性タイプは、いつ頃から
わかるのでしょうか?
1歳頃から強く出ているような場合もありますが、小学校高学年くらいまでは、まだすべての認知特性が表に出ておらず、成長とともに変化する場合も。9歳くらいが区切りとなってはっきりしてくることが多いです。
診断テストをやってみたのですが、
突出したものがありませんでした。
何を伸ばしていけばいいのでしょうか?
際立ったタイプがない場合、バランスよく各特性を持っているということなので、状況に応じて柔軟にインプットやアウトプットができる可能性があります。本人が「好き」「楽しい」と思うものを大切にしてください。
子どもの診断テストの結果と、
親が直観的に思うタイプが違っていた場合は、
どう考えればいいでしょうか?
テストの項目はあくまで一例なので、毎日お子さんと接しているご自身の観察を優先してください。子どもは成長や変化も早いですし、場面によって自然と認知特性を使い分けている場合もあります。
私も自分の子どもを育てている中で感じていますが、その子が「生まれてきてよかった」「生きていて楽しい」と思える土台を作ってあげることが、親の一番大切な役割だと思います。「好き」や「得意」を1つでも見つければ、それを道しるべに人生を切り開くことができるはず。認知特性タイプが、親も子どもも無理なく、もともと持っている力を生かして幸せに生きていくヒントになれば嬉しいです。
教えてくれた人
小児発達医
本田 真美さん

医学博士、小児科専門医、小児神経専門医。東京慈恵会医科大学卒。小児専門病院や療育センターなどを経て、みくりキッズくりにっく、あのねコドモくりにっく、および認知特性に関する研究を行う「本田式認知特性研究所」を設立。著書多数、最新刊に『子どもの「ほんとうの才能」を最大限に伸ばす方法』(河出書房新社)。

文:征矢里沙
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