【てぃ先生の子育てお悩み相談室】ネガティブな言動を「得(とく)」だと思わせていませんか?
2026.09.07
テレビ番組やSNSでも大人気の現役保育士・てぃ先生が、読者の悩みに答える連載企画。今回は「娘に『嫌い、出ていって』と言われて悲しい」と悩む親御さんのお話です。
4歳の娘が「ママ嫌い! 家から出ていって!」と言うようになってしまいました。本音ではないとわかっているけれど、言われると悲しい。「ママはそう言われると悲しい」と伝えてもなかなかやめてくれません。
(読者アンケートより/お子さん:9歳男の子、7歳男の子、4歳女の子)
反応があるからこそ
余計に言ってしまう
これは、もしかしたら親御さんが「悲しい」って反応しているからこそ言っているのかもしれません。確かに、傷つく言葉を言われた時に「そんなこと言われたらママ悲しいよ」とか、「お友達もそんなこと言われたら傷つくんじゃないかな?」みたいなことを伝えた方がいい、ということもあります。でも、それは何の狙いもなくそう言ってしまったお子さんの場合。今回のケースでは、「嫌い、出ていって」に対して「悲しい」っていう反応をしていることで、余計にその言葉を言ってるんだと思います。
もちろん、このママさんもわかっている通り、本当に嫌いとか家から出ていってほしいとか思っているわけではないんです。3~4歳だと、「おっぱい」とか「おしり」とか言いたがる子もよくいますが、これもその言葉自体に意味があるというより、それを言うと周りが反応してくれるからです。周りのリアクションは、その子にとって「成功」になります。だから、もっと反応がほしくて、ますます言う、ということになってしまうんです。
ポジティブなやり取りに
もっと注目して
じゃあどうすればいいのかという話なんですが、娘さんも、24時間ずっと「ママ出ていって」って言ってるわけじゃないですよね。例えば、ご飯を食べた時においしい」って言う瞬間があったりとか、「ママ抱っこ」って言ってくる瞬間があるとか、ポジティブなコミュニケーションっていうのもきっとあると思うんです。そっちにもっと注目した方がいいと思います。
「おいしい」って言ったら「ママが作ったものにおいしいって言ってくれてありがとう!」とか、「ママ抱っこ」って言ったら「え~ママに抱っこしてほしいの、かわいいねぇ!」とか、ポジティブな発言をしっかり捉えて、しっかり時間を使って反応するんです。そうするとお子さんも、「ママ出ていって」って言うよりも、「ママ抱っこ」って言った方が、ママはいっぱい反応してくれて、自分のことをかわいがってくれるし、笑顔で自分に接してくれる! という、本当の意味でのいい成功体験が増えていきます。
ネガティブな言動より
ポジティブな方を「得(とく)」にする
忙しいご家庭によくあるのが、子どものポジティブな言動に対する関わりは、ついあっさりしてしまうこと。「おいしい」って言っても「ありがとね」だけとか、「抱っこ」って言っても「今忙しいから後でね」とか、10秒くらいで関わりが終わっちゃう。でも、「ママ嫌い、家から出ていって」って言うと、「何でそんなこと言うの、そんなこと言われたら悲しいよ、ママ何度も言ってるよね」みたいな感じで、5分でも10分でも関わってくれるとなったら、4歳の子どもにとっては「ネガティブなことを言った方が得」ってなっちゃうんです。
だから、ちょっと手間がかかるかもしれないけど、子どものポジティブな言動を細かく拾っていって、そこにできるだけ時間を使うようにすること。その方が、「ママ嫌いって言うのやめて」と言い続けるよりも、子ども自身が、ポジティブなことをもっと言おうって気持ちになってくると思います。だって、その方が得なんですからね。
PROFILE
てぃ先生

関東の保育園に勤める現役保育士。名前の読み方は「T」先生。SNSの総フォロワーは200万人を超え、保育士として日本一の数である。超具体的な育児法や子育てにおけるアドバイスは斬新なアイデアにあふれており、世のパパ・ママに圧倒的に支持されている。現在はSNSだけでなく、報道番組からバラエティー番組まで幅広いジャンルのテレビにも出演し、「いま一番相談したい保育士」と紹介されることも。著書に『子育てのみんなの悩み、お助け中!(ダイヤモンド社)』など。

X:@_HappyBoy
Instagram:@tsenseidayo
オフィシャルサイト:tsensei.com
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文/征矢里沙
Kids Well-being VOL.1(2026年春号)より転載
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