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免疫グラグラ期とは?免疫弱者の子どもを 守る生活習慣「うがい・手洗い・腸活」

<目次> 1. 春先に注意すべき感染症とは? 2. 免疫と生活習慣の関係性 3. 「うがい・手洗い・腸活」の習慣化   教えてくれた人 コトコトクリニック院長 相澤 まどか医師 医学博士、日本小児科学会 小児科 […]

<目次>
1. 春先に注意すべき感染症とは?
2. 免疫と生活習慣の関係性
3. 「うがい・手洗い・腸活」の習慣化

 

教えてくれた人


コトコトクリニック院長 相澤 まどか医師
医学博士、日本小児科学会 小児科専門医
風邪などの一般診療、予防接種・健診、育児・栄養相談、NICU卒業生のフォローアップなどの専門外来も行う。

春先に注意すべき感染症とは?


なぜ春は免疫が「グラグラ」するのか。人間の体は、急激な気温の変化に対応しようとする際、交感神経が優位な緊張状態になる。春特有の三寒四温や、新生活のプレッシャーによるストレスが続くと、この緊張状態が解けず自律神経が乱れてしまう。その結果、睡眠の質が落ちたり、胃腸の働きが鈍くなり、ウイルスや細菌などの異物を攻撃する免疫力が十分に発揮できなくなるのだ。この「免疫グラグラ期」は、不調の原因が見えにくいため、特に注意が必要だ。

近年、インフルエンザが冬以外にも流行するなど季節性が薄れているが、その背景にはこうした「免疫グラグラ期」による抵抗力の低下や、活発な人の移動に伴うウイルスの流入がある。冬が終わり警戒が緩みがちな春こそ、免疫の土台作りが欠かせない。

春先に注意すべき感染症としては、例年3月にかけて流行するインフルエンザB型があげられるほか、ノロウイルスによる感染性胃腸炎、RSウイルス、溶連菌感染症などの警戒も必要である。これらのリスクから家族を守るためには、日頃から免疫の土台を整えておくことが重要になる。

免疫と生活習慣の関係性


免疫とは、体内に侵入した異物や病原体を見つけ出し、攻撃して排除する体内の防御システムのこと。これは、生まれたときから備わっている「自然免疫」と、経験によって後天的に鍛えられる「獲得免疫」で構成されている。

子どもが「免疫弱者」と言われるのは、決して体が弱いからではなく、免疫の経験値が少ないためだ。乳児は生後半年頃まで、母親から胎盤や母乳を通じて譲り受けた「獲得免疫」で守られているが、その効果が切れる頃から自前の免疫を構築し始める。保育園や幼稚園で風邪を繰り返すのは、ウイルスという異物の情報を学習し、その防御の仕方を覚えている最中だからである。このプロセスを経て、6歳頃には免疫機能が成熟し、10〜12歳頃に基礎的な免疫システムが完成する。

免疫を健やかに維持するためには、以下の3つの生活習慣が鍵となる。

●睡眠:睡眠不足は免疫低下の最大要因である。睡眠中、体は免疫細胞(T細胞)を活性化させ、炎症をリセットし、成長ホルモンを分泌する。一般的な睡眠の目安は、1〜2歳児は11〜14時間、3〜5歳児は10〜13時間、小学生は9〜11時間だと言われているが、重要なのは、時間よりもリズム。毎日同じ時間に就寝することで体内時計が整い、免疫も安定する。

●食事:免疫細胞の材料となるタンパク質、ビタミンA・C・D、鉄、亜鉛といった栄養素が不可欠。これらは一度に摂るのではなく、毎日の食事でコツコツと摂ることで、免疫力を高めるサポートをしてくれる。

●ワクチン:特定の病原体に対する「記憶」を安全に体に教え込む手段がワクチンだ。重症化するリスクが高い感染症は、自然感染で免疫をつけるというよりは、ワクチンで防御しつつ、日々の生活習慣で免疫に耐えうる体をつくるという、「セット」の考え方が大切である。

「うがい・手洗い・腸活」の習慣化


共働き世帯も増え、多忙な家庭内でケアを続けるのはとても困難なこと。そこで、無理なく継続できる「外側(衛生管理)」と「内側(腸内環境)」からの予防策を考えたい。

●外側からのケア:うがいや手洗いは、回数よりもタイミングが重要。帰宅後すぐ、食事の前、トイレの後、鼻を噛んだ後などタイミングの徹底が、感染リスクを大幅に下げてくれる。そして、大人が一緒にやることが、子どもの習慣化への近道になる。
もし家庭内にウイルスが持ち込まれてしまった際は、タオルの共有を避けたり、可能な範囲で寝る場所を分けることも有効だ。

●内側からのケア:体内の免疫細胞の約7割は腸に集中しているため、腸内環境を整えることは、免疫力向上の最短ルートでもある。乳酸菌などの善玉菌を食品から摂取することは、腸のバリア機能を高め、免疫の過剰反応を抑えるサポートをしてくれる。

家庭での腸活のヒントとしては、「足し算」の食事術があげられる。コンビニなどの弁当や総菜を利用するなら「+ゆで卵(タンパク質)」、パンなら「+ヨーグルト(発酵食品)」というように、一品足すだけで腸内環境は整いやすくなる。

そして、健康への意志だけに頼るのではなく、自然に手が伸びる仕組みを作るのも効果的だ。例えば、ヨーグルトを冷蔵庫の最前列など、子どもが自分で取り出しやすい場所に配置する。これだけで摂取のハードルは劇的に下がる。

食事から摂る発酵食品には、微生物のエネルギー源や食物繊維、ビタミンなども含まれ、食品ならではの相乗効果が期待できる。さらに、家族で「おいしいね」と食卓を囲みながら食べることそのものがストレスを軽減し、子どもの健やかな成長を促す良質な刺激となる。
 
免疫は一朝一夕で強化されるものではない。特に春の「免疫グラグラ期」は、家族全員で早寝を心がけ、決めたタイミングでうがい・手洗いを行い、冷蔵庫の手前にヨーグルトを置いて毎朝の食事やおやつとして食べるといった小さな工夫を積み重ね、ウイルスに負けない体を作りたい。

親子で「うがい・手洗い・腸活」を習慣化し、季節の変わり目を乗り切ろう。


文:細井香里

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