夏休みはどう過ごす?子どもたちの非認知能力を伸ばす夏休みの過ごし方を徹底解説!
2026.06.15
夏休みは、非認知能力を育てる絶好のチャンスだ。粘り強さ、やる気、協調性──こうした「点数では測れない力」は、子どもの豊かな人生の土台になる。では、どのように過ごせばよりよいのか。非認知能力を重視した教育実践を研究する中山芳一さんに、おすすめの過ごし方を聞いた。
1.非認知能力は「行動」に現れる
2.発達段階で変わる親の関わり方
3.非認知能力を伸ばす夏休みの過ごし方のコツ
4.「非日常の刺激」が子どもを変える
非認知能力は
「行動」に現れる
最近、「非認知能力を育てます」を謳うプログラムや教材が増えている。しかし中山さんは、その流行に疑問を投げかける。「非認知能力は、〝行動〞のなかでつちかわれるものです。勉強する時、人と交わる時――そのプロセスの中で育まれ、発揮される。それを単体で鍛えようとするのは、あまり意味がないと思っています」。
中山さんは非認知能力を「共通の物差しで評価・測定できない力」と定義する。テストで点数化できる「見える力」が認知能力であるのに対し、粘り強さ・やる気・優しさ・協調性といった「見えない力」が非認知能力にあたる。そして重要なのは、こうした非認知能力は「行動」として現れ、「行動」で評価されるという点だ。「非認知能力を育てるとは、より望ましい行動へと変容させ、習慣として定着させることです」と中山さんは語る。
発達段階で変わる
親の関わり方
行動変容が起きやすいタイミングは、発達段階によって異なる。
幼児期〜低学年は、生まれながらの「気質」が行動に強く現れる時期。落ち着きがない子に「落ち着きなさい」と言っても気質は変えられない。この時期は大人が「その気にさせる」ことが基本だ。「保育士さんの『お口にチャック』が良い例です。うまくその気にさせて、褒めながら行動を定着させていく。それが幼児期に大切な関わり方です」。
小学3・4年生以降は、自己コントロールの力が育ち始める。そのため、まずは「なぜそうするのか」を説明し、自らの行動を促すのがおすすめだ。
キャンプでも非認知能力が求められる場面は多い
非認知能力を伸ばす
夏休みの過ごし方のコツ
1.子どもが「やりたい」と思えるものを選ぶ
「非認知能力が育ちそう」という親の判断でプログラムを押しつけてはいけない。本人の合意なしに参加させると、辛くなったとき「やりたくもないのにやらされた」という気持ちが先に立ち、逆効果になる。
2.「アウトソーシング」も立派な選択肢
つい親が手出し・口出しをしてしまいそうなら、子どもだけで参加できるサマーキャンプや地域のプログラムにアウトソーシングするのも賢い方法。親から離れた環境で、子どもは自分の力で動く経験を積む。
3.詰め込みすぎず「余白」を残す
あまり体験を連続させすぎると、子どもが自分なりに消化する時間がなくなる。プログラムとプログラムの間に「何もしない日」を設けることが、振り返る時間を生み、体験の質を高める。
4.「伸びる体験」は主催者の「意図」で選ぶ
同じような体験に見えても狙いは少しずつ違うもの。主催者が「どんな力を育てようとしているか」という狙いを確認して選ぼう。
1.「楽しむこと」が非認知能力を伸ばす
“楽観性”や“やる気”も立派な非認知能力。「この夏、非認知能力を伸ばさなければ」と意気込む必要はない。家族でただただ楽しい時間を過ごすことが、何よりの土台になる。
2.夏休みの「計画」を子どもに立ててもらう
旅行・家族行事・自由な日……夏休み全体をざっくり見渡して、子どもに自分でスケジュールを立ててもらおう。1カ月という長いスパンで「やりたいこと」から逆算して計画を組む経験は、大人になっても必ず役立つ。
3.宿題は「やらせる」より「理由を伝える」
宿題を「やりなさい」ではなく、なぜやるのかを親の言葉で伝えよう。理由を知った子どもは主体的に取り組みやすくなる。「先生に怒られるから」ではなく「自分ごと」の理由を一緒に探そう。
4.「暇な時間」を大切にする
あれもこれもと予定を詰め込みすぎず、子どもが自分で考えて動く「余白」を意識的に作ろう。自分が好きなことに没頭して遊ぶ時間が、創造性・問題解決力・コミュニケーション力を育てる。
「非日常の刺激」が
子どもを変える
夏休みはこの「行動変容」を起こす絶好のチャンスである。初めての場所、初めての人間関係、思うようにいかない状況……。そういった「非日常」の刺激の中でこそ、非認知能力を発揮した行動が求められるシーンが多いからだ。
サマーキャンプや野外活動が有効なのも、まさにこの理由。ただし、「この夏、子どもの非認知能力を伸ばさなければ」と親が提案して無理やり参加させるのは逆効果だ。「本人がやりたいと思って、自分から行動して初めて効果が生まれる。これは鉄則です」と中山さんは警鐘をならす。
次回では非認知能力が伸びる夏休みプログラムを厳選してご紹介しよう。
中山芳一さん

1976年1月、岡山県岡山市生まれ、All HEROs合同会社代表社員、IPU環太平洋大学特命教授。25年以上に及ぶ小学生と大学生に対する教育実践の経験から、「非認知能力の育成」という課題を見出し、全国各地の学校や保育現場で教育実践の在り方を提唱している。現場の教職員と協働で非認知能力に関するさまざまな課題解決を行う中で、教育内容の改善、さらには荒れていた学校の立て直しなどにも取り組む。
文/笹間聖子
Kids Well-being vol.02 2026年夏号より転載
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