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きょうだいのバランスを整えるには? 「私が先!」のけんかを減らす工夫

モンテッソーリ教育とレッジョ・エミリア・アプローチの研究者である島村華子さんの連載コラム。今回からは、幼児教育の最新研究をもとに、読者の子育てのお悩みを育ちのヒントに変えるアドバイスをお伝えします。

<読者のお悩み>
姉妹(5歳、4歳)の母です。おもちゃやお菓子など、何かを選ぶ機会があると、上の娘が先に選びます。下の娘から選ばせてあげると、上の娘が「私が先なの」と怒ったり泣いたりするため、下の娘が「先に選んでいいよ」と譲ってしまいます。下の娘が我慢していることが多いので、なるべく公平にしてあげたいのですが、どうすればいいのか悩んでいます。
(読者アンケートより/お子さん:4歳女の子、5歳女の子)

 

年子のきょうだいは
「どちらが先?」でぶつかりやすい

歳の近いきょうだいを育てていると、「どちらが先か」と揉めるのはよくあることです。上のお子さんが「私が先!」と強く主張し、下のお子さんが優しく譲ってしまう姿を見ると、どちらの気持ちも大切にしたい親御さんとしては胸が痛いですね。

こうした状況は、実は年子のきょうだいにとても起こりやすいものです。きょうだい関係の研究によると、年齢差が1〜2歳の年子の場合、興味や行動パターンがよく似ているため、欲しいものややりたいことが重なりやすく、その結果、競争が自然と生まれやすいといわれています。例えば、中国の杭州師範大学で行われた研究によると、年齢差が3歳未満の兄弟姉妹は「自分が先に選びたい」という気持ちが強く出やすいほか、相手の様子を細かく見ながら自分の行動を決める傾向があることもわかっています。これはご相談いただいた姉妹の姿にそのまま重なる部分が多く、上のお子さんの「自分が一番でいたい」という思いも、下のお子さんの「譲ることでその場を落ち着かせようとする」優しさも、ご家庭の問題ではなく、発達と関係性の中で自然に起こるものだとわかります。

「先に選ぶ順番」を決めておくと、
けんかを減らしやすい

とはいえ、下のお子さんが毎回譲る状態が続くと、「本当は選びたいのに言えない」という自分を押し殺しているのではないかという心配もあります。そこで役に立つのが、日々の関わりに予測できる順番を取り入れることです。例えば、「月・水・金はお姉ちゃん、火・木・土は妹」というように曜日で順番を決めておくと、2人とも自然と「今日はどちらの番か」を理解しやすくなります。毎日決まったリズムがあることで、心の準備ができ、気持ちも落ち着きやすくなります。カレンダーにその日の担当を示すシールを姉妹で貼るなど、2人を巻き込みながら視覚的にわかりやすく工夫していくのも良い方法です。自分でシールを貼ることで「今日は私の日だ」と気持ちが切り替わりやすくなり、順番に対する納得感も高まります。

この日替わりルールは、お菓子を選ぶ場面だけでなく、テレビのチャンネル権や、お風呂にどちらが先に入るかといった小さな場面にも応用でき、毎日の小さなけんかが減るのに役立つかもしれません。特に年子の場合、日常の細かい選択の連続がけんかの原因になりやすいため、こうした予測できる仕組みの効果は大きいのです。

「選ばない方」にも
役割をつくってみる

もちろん、相手の順番の日でも上のお子さんが気持ちを爆発させてしまうことはあると思います。そのときには、「今日は妹ちゃんの日だけど、先に選びたかったんだよね」と気持ちを丁寧に受け止めつつ、ルールそのものは変えずに伝えていきます。感情を無視されると余計に反発しがちですが、気持ちを言葉にしてもらうことで少し心が落ち着きます。一方で下のお子さんには、「譲ってくれてありがとう。でもね、あなたが選んでいいんだよ」と、遠慮しすぎないでいいことを一貫して伝えていきます。

また、順番だけでなく、何か役割をつくることもきょうだいのバランスを整える助けになります。例えば、今日は妹が選ぶ日なら、選ばなかった上のお子さんがお菓子を袋から出す係になるなど、2人がそれぞれの形で場に参加できるようにすると、先に選ばなかった方にも満足感が生まれます。

きょうだいの小さなけんかも、
成長のチャンス

年子のきょうだいは衝突も多いですが、それと同じくらい、一緒に遊んだり、真似し合ったり、互いを刺激し合いながら育つ豊かさがあります。日常の小さなけんかも、成長のチャンスであり、きょうだい関係が深まっていくひとつの過程です。親が子どもたちにわかりやすい枠組みを整え、両方の気持ちに耳を傾けていくことで、「自分の気持ちを言っていい」「どちらも大切にされている」という安心感がきょうだいの中に育っていきます。

無理にすべてを整えようとしなくても大丈夫です。4〜5歳の子どもは特に、気持ちの切り替えや順番の受け入れが日によって大きく揺れ動く時期でもあります。だからこそ、その日その瞬間の反応に振り回されすぎず、子どもたちにも理解しやすい仕組みを少しずつ生活に組み込んでいくことが大切になってきます。今日うまくいかなかったとしても、明日はまた違う姿を見せてくれるかもしれません。順番のルールや見通しのある工夫が生活の中に少しずつなじんでいくと、お互いの気持ちを受け止める余裕が生まれ、きょうだい関係もゆっくりと落ち着いていきます。ご家庭のペースで、無理のない範囲から試してみてもらえたらと思います。

PROFILE

島村華子

オックスフォード大学修士・博士課程修了(児童発達学)。日本人で唯一の、モンテッソーリ教育&レッジョ・エミリア・アプローチの二つを司る研究者。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員養成に関わりながら、日本でも教育・子育てについて、親や教育者に寄り添ったアドバイスを発信している。著書『アクティブリスニングでかなえる最高の子育て(主婦の友社)』『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』『親子でできる モンテッソーリ教育とマインドフルネス(創元社)』

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Kids Well-being VOL.1(2026年春号)より転載

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