「舞台づくり」が育む非認知能力とは?「劇団四季」出身俳優が率いる児童劇団に潜入
2026.05.08
子どもの習い事といえば、スポーツや学習塾が定番である。しかし近年、親世代にとって見逃せない選択肢として浮上しているのが「舞台・ミュージカル」だ。今回は全国に拠点を持ち、子どもから若者までが舞台づくりに参加する児童劇団「大きな夢」を取材した。
1.児童劇団「大きな夢」
2.本気で挑むことを学ばされる
3.「誰ひとり置いていかない」空気
4.子どもの成長を支える「父母会」の存在
5.劇団BDPの公演が5月開催
6.公演概要
教育型エンターテインメント集団
児童劇団「大きな夢」
児童劇団「大きな夢」は小学生から高校生、さらには大学生までが在籍し、歌・ダンス・演技を通じて舞台作品を創り上げる教育型エンターテインメント集団である。全国各地に教室を展開し、週1回の稽古をベースに、年1回の公演を中心に活動。プロの演出家やスタッフが関わる本格的な舞台環境の中で、子どもたちは実践的に表現力を磨いていく。卒業生の中には宝塚歌劇団やK-POPなど国内外の舞台へ進む人材もおり、エンターテインメント以外の分野で活躍する人材も多い。
入団にオーディションなし
それでも本気で挑むことを学ばされる
児童劇団「大きな夢」は、全国26拠点、約700人が所属する、経験不問で入団できる子どもミュージカル劇団である。1993年、代表取締役会長・青砥洋(あおと・よう)が創設した。NHK松江放送劇団、劇団昴、劇団四季を経て独立した人物である。
「ミュージカルを通じて人間力を育む」ことを理念に掲げ、歌・ダンス・演技を総合的に学ぶ舞台教育を展開。2001年には高校生以上を対象とした劇団BDP(Big Dream Play)、2012年には株式会社劇団BDP企画[愛霜1.1]を設立し、演劇教育を「人生を豊かにする学び」として発展させてきた。

入団にオーディションはないが、創作陣は第一線のプロフェッショナルである。日本オリジナル・ミュージカル脚本の先駆者である山崎陽子氏、ディズニー映画『アナと雪の女王』シリーズや実写版『美女と野獣』の訳詞を手がけた高橋知伽江氏、歌人・東直子氏らが脚本を担当。さらに『CATS』日本版の舞台美術を手がけた土屋茂昭氏なども参画し、本格的な作品づくりが行われている。
作品のテーマは「愛と優しさ、思いやり」。家族愛や友情、他者への共感、困難を乗り越える力といった普遍的な価値を軸に構成されている。舞台づくりという集団行動を通じて、責任感や協調性、礼儀、時間管理といった社会性に加え、本番を乗り越える成功体験によって自己肯定感も育まれる。
また、年齢を超えた協働も特徴だ。年長から高校生までが同じ舞台に立ち、年上は年下を支え、年下は年上に学ぶ。この縦の関係性は、学校生活では得にくい社会性を育む重要な要素である。
厳しさの中にある
「誰ひとり置いていかない」空気

ミュージカル体験の様子
2026年、東京都練馬区民センターにて、一般参加も可能な和のワークショップ&ミュージカル体験会が開催された。2日間のプログラムでは、浴衣の着付けや日本舞踊といった日本文化の体験に加え、実際の舞台作品をベースにしたミュージカル創作体験が行われた。
午後には、演技・歌・ダンスを組み合わせた舞台づくりに挑戦し、参加者による成果発表も実施。
児童劇団「大きな夢」で育った高校生や大学生が入団することが多い劇団BDPアカデミー生によるミニパフォーマンスも披露された。さらに、射的や輪投げなどの縁日企画、書や茶道の体験、日本風ヘアメイクとフォト体験なども用意され、地域交流の場としても機能していた。

当日スタッフとして参加していた「大きな夢」出身の男子大学生の植松太一さんは、「ここは学校とは違う友達に出会える場所で、週1回通うのが楽しみだった」と語る。さらに、「何をやっても続かなかった自分が、ここでは10年以上続いた」と振り返る。
週1回の稽古という無理のないペースながら、本番は一発勝負。幕が上がり観客の視線を浴びた瞬間の緊張と高揚は強烈で、「一度味わうとやめられない」という。この体験が、子どもに“やり切る力”を刻み込む。
一方で、舞台は決して楽しいだけではない。オーディションに落ちる、役が取れないといった挫折もある。それでも続ける理由について、劇団BDPで主演も務める女子大学生の石田美々子さんは「この劇団には、誰一人置いていかない空気がある」と語る。厳しさの中にある納得感ある指導と、家族のような関係性が、子どもを支えている。

取材に応えてくれた児童劇団「大きな夢」出身、現在は劇団BDPで活躍する植松太一さん(左)と石田美々子さん。
思春期に「自分が嫌いになった」と語る参加者もいたが、最終的には舞台に戻り、「ここが自分の居場所だ」と再認識したという。舞台は単なる習い事ではなく、自分自身と向き合う装置でもある。

レッスン風景
子どもの成長を支える
「父母会」の存在
こうした活動を支えているのが、保護者の存在である。送迎や費用面のサポートに加え、精神的な支えも重要だ。「辞めたい」と揺れる時期に寄り添うことが、継続の鍵になる。
この劇団には、創設当初から「父母会」という文化がある。会場手配や衣装準備など、保護者が主体的に関わり、子どもたちの活動を支える仕組みだ。親が関与することで、子どもの成長をより近くで見守ることができる点も特徴である。
児童劇団出身者が活躍する
劇団BDPの公演が5月開催

児童劇団で育った人材の次のステージとして位置づけられるのが、劇団BDP(Big Dream Play)である。高校生以上を中心に、より高度な舞台作品の創作・上演を行っている。
2026年は、日本古典の精神性を世界に発信する「HIKARI PROJECT」を始動。代表作を通じて日本文化の魅力を国内外へ届けていく。その第一弾として、5月には「かぐや姫」をモチーフにしたオリジナル作品「KAGUYA -月の娘たち-」が上演される。
公演概要
公演名:KAGUYA -月の娘たち-
・日程:2026年5月23日(土)・24日(日)
・会場:大田区民プラザ 大ホール
・上演スケジュール:
5月23日(土)14:00(A)/18:00(B)
5月24日(日)12:30(B)/16:30(A)
〈劇場チケット(全席指定)〉
・一般:4,500円
・U-22:3,800円
〈配信チケット〉
・配信期間:2026年6月6日(土)〜6月20日(土)
・各組:3,500円 両組セット:5,000円
※海外留学生・学生団体向け特別割引あり(1名2,000円)
劇団事務局:info2@gekidan-bdp.jp
公式サイト:https://www.gekidan-bdp.jp/w/kaguya
文/Kids well-being編集部
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