【世界の最新教育事情】情報リテラシー教育で子どもの考える力と疑う力を育てる
2026.11.02
各国の現地ライターが、世界の最新事情をお届け! 今回の共通テーマは「情報リテラシー教育」です。デンマーク、フランス、フィンランド、アメリカの4か国から、子どもが情報を鵜呑みにせず、自分で考え、判断する力を育む教育の取り組みを紹介します。
メイン画像:デンマークの小学校の授業風景。特定の授業というよりも、すべての授業や学び、学校生活、対人関係、家庭や地域を通して、複数の視点から考える力を身に付けていく。
創造性と批判的(分析的)思考
を重視する教育
From DENMARK
デンマークの教育では、創造性と批判的(分析的)思考が重視されている。さまざまな授業や学校生活、対人関係などを通して、物事は、立場や状況、制度や時代、文化や宗教、関係や経験など、さまざまな事情で見え方が変わり、単純に善悪や正誤を決めたり、直線的・短絡的に結びつけて解釈できないことを学ぶ。

どんな場面や状況でも、いろいろな考え方ややり方があり、人は人生を通してその「答えがない問い」を探り続けていくものだ、と子どもの頃から体験的に学んでいく。
日常的な声かけでも、子どもをジャッジするのではなく、「あなたはどうしたい?」「それは興味深いね」「一緒にやってみようか」と、子どもの発想を引き出す声かけをすることが多い。
文/海野アユミ
5歳未満のSNS禁止を可決
今年9月からの施行目指す
From FRANCE

フランスではすでに「学校内へのスマホ・タブレット等の持ち込み禁止」が法制化されている。 ©Shutterstock
フランスは15歳未満のSNS利用を法律で禁止しようとしている。背景には、SNSの過度な使用による睡眠不足、不安や抑うつ、過剰な痩身や摂食障害、ネットいじめなどの問題があり、SNSの収益化を図るためのアルゴリズムが、こうしたリスクを悪化させるとしている。

フランスのマクロン大統領。 ©Federico Pestellini / Shutterstock.com
マクロン大統領は「子どもや思春期の脳は売り物ではない」と発言。下院案と上院案との調整を行い、9月からの施行を目指す。子どものSNS禁止は、オーストラリアが2025年12月に世界で初めて法制化。欧州の他の国でも検討が進んでいる。
文/守隨亨延
子どもの話を聞きながら
丁寧に寄り添うリテラシー教育
From FINLAND

就学前教育の一環として、タブレットで遊びながら数字やアルファベットを学ぶ「プリスクールゲーム」。タブレットは音楽やオーディオブックによる読み聞かせにも使われる。
1972年にメディア教育が学校のカリキュラムに組み込まれ、「メディアリテラシー指標」で7年連続欧州一の国フィンランド。幼児教育の段階から、テレビやインターネットのコンテンツを鵜呑みにしている子どもがいたら、それはフィクションであって事実ではないことを、保育者が丁寧に教えることも。

小学生に多く読まれる「子どもニュース」のインターネット版。子どもから高齢者までがメディアリテラシーを高める「メディア読解力週間」も、年1回全国で実施されている。
小学校では、新聞記事の広告と記事を区別する練習から、本格的な批判的思考力を養うトレーニングが始まる。メディアリテラシーはフィンランド国民が民主主義を守るために重要なスキルなのだ。
文/靴家さちこ
幼児から情報リテラシー教育
考えさせ、疑う姿勢を育てる
From USA

アメリカの教室では、“正しい答え”よりも、“なぜそう思うのか”を語れる子どもを育てている。 ©Shutterstock
アメリカでは、幼児期から「これ本当?」「誰が言っているの?」「なぜそう言っているの?」といった問いを通じて、子ども自身に考えさせ、疑う姿勢を育てる。

保護者からは、「テレビを見ながら『これ本当?』と聞いてくるようになった」という声も。
また、ゲーム形式の教材も活用。たとえば、登場人物2人のどちらが専門家で、どちらが嘘つきかを当てる「The Big Fib」というクイズ番組は、学校でも読み聞かせとして使われ、登場人物の発言について「本当かな?」と問いかけながら、子どもたちにその理由を説明させる。ただ、州によって教育方針が違ったり、公立、私立でかなりの格差があるという面も。
文/大山真理
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Kids Well-being VOL.2(2026年夏号)より転載
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