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親子で始めるマインドフルネス入門。「心の静けさ」で子どもが変わる

ゲームや動画など、刺激的なコンテンツに囲まれる現代の子どもたち。「集中力がない」「感情の起伏が激しい」「落ち着きがない」といった悩みを抱える家庭も少なくない。そうした中で注目されているのが、「マインドフルネス」だ。その内容や効果について、『親子でできるモンテッソーリ教育とマインドフルネス』著者の島村華子先生に聞いた。

マインドフルネスとは
一体どんなもの?

子育てにおいて、「今を大切に」とよく言われるが、実際には難しい。やることは山積みで、気づけばスマホ片手に明日の予定を確認しながら、目の前の子どもに適当な返事をしている。そんな“自動運転モード”の日常を、いったん立ち止まって見つめ直すきっかけが「マインドフルネス」だ。

マインドフルネスとは、「今、この瞬間」に意識を向けることを指す。過去の後悔や未来の不安ではなく、今起こっていることをそのまま受け止める。例えば子どもの声のトーン、表情、自分の心の動き──そうした1つひとつを丁寧に見つめることが、マインドフルネスの第一歩である。

「マインドフルネスは、心のざわめきを静かに見つめ、“気づく力”を養うもの。特別な訓練や静かな場所がなくても、日常の中で誰もが取り組めます」と話すのは、『親子でできるモンテッソーリ教育とマインドフルネス』の著者であり、教育研究者の島村華子さんだ。

親のマインドフルネスが
子どもの安心につながる

島村さんによると、マインドフルネスを習慣にすることで、子どもにも大人にも大きな変化があるという。例えば、「感情のコントロールがしやすくなる」「集中力が高まる」「自己肯定感が育つ」「ストレスに強くなる」といった数々のプラスの効果が、欧米の研究でも証明されている。

特に注目したいのは、親がマインドフルネスを意識することで、子どもとの関係が良くなるという点だ。親自身がイライラした気持ちに気づき、落ち着いて対応するだけで、子どもの安心感が高まる。

もしも子どもがかんしゃくを起こしたときに、「なんでそんなに怒るの?」と反発すると、子どもはさらにヒートアップしてしまう。でも、「今、怒っているんだね。そう感じるのは自然なことだよ」とジャッジせず受け止めるだけで、情動は落ち着いてくる。

「まず親が変わることで、子どもにも連鎖的に良い影響が起きます。たとえ短い時間でも“今、この瞬間”に意識を向けることで、家庭全体が穏やかになっていくのです」。

集中力、感情コントロール、自己肯定感……
マインドフルネスがもたらす効果

① 感情のコントロールがしやすくなる


マインドフルネスは、怒りや不安といった感情を「ジャッジせずに受け止める」力を育てる。ネガティブな気持ちを否定するのではなく、「今、自分はこう感じている」と気づくだけで、感情に流されにくくなる。そうして親が衝動的な言動を減らし、子どもも感情に振り回されずに行動する力を身につけていくのだ。これは育児ストレスを減らす鍵でもある。

② 集中力と記憶力が向上する


「意識を“今ここ”に戻すことを繰り返すだけで、脳の集中力と記憶力は鍛えられます」と島村さん。マインドフルネスは、注意散漫な状態に気づき、再び集中に戻る練習でもある。呼吸を感じたり、食事の味に集中したりするだけでも、脳は“集中スイッチ”を繰り返し入れることができる。子どもにとっても大人にとっても、日々の集中力と記憶力向上に効果的なアプローチだ。

③ 自己肯定感が高まる


日常の中で「小さな成功」や「頑張った自分」に気づけるようになると、自己肯定感は自然と育つ。「怒りっぽい子が、自分で気持ちを落ち着かせられたとき、『自分でできたね』と声をかけると、子どもは自信をつけます」と島村さん。これは大人にも当てはまる。寝かしつけがうまくいった日や、イライラせずに対応できた瞬間、自分を褒めて心を満たそう。

④ ストレスや不安が軽減し、楽観性が育つ


マインドフルネスを日常的に取り入れると、脳の“ネガティブ回路”に偏りがちな思考パターンがリセットされる。島村さんがすすめる「3 つの良いことを見つけて感謝する」習慣もその1つ。毎日、小さな喜びを見つけて記録することで、脳はポジティブな情報を選び取る癖がつき、自然と前向きな気持ちになっていく。親にも子どもにも共通の効果がある。

「気づいて、戻す」
集中力のトレーニング

マインドフルネスは、集中力を高める上でも有効だ。「呼吸や五感に意識を向ける練習を繰り返すことで、自分が“今集中していない”と気づく力が養われるんです」

気づいた上で“今ここ”に意識を戻す──このプロセスの繰り返しが、集中力と記憶力の土台になるという。集中力がつけば、学びの効率も上がる。「注意を戻す力はトレーニングで伸ばせます」と島村さんは話す。

毎日少しずつでも、こうした“集中の筋トレ”を続けることが重要だ。さらに、日常の中で集中を乱す要素に気づくことも大切だという。例をあげれば、スマホの通知音や、複数のタスクに追われる状況は、無意識のうちに注意を分散させる。そうした外的な刺激に翻弄されることなく、目の前の行動に意識を戻す──この習慣が、集中力を高める鍵となる。

“できた”を積み重ねて
自信と前向きな心を育てる

加えて、自己肯定感も育つ。親が子どもの成長に気づき、「今、自分で落ち着けたね」と声をかけることだけでも、子どもは「自分にもできた」という感覚を持てるようになる。それが自信につながり、挑戦する意欲も高めてくれる。同じように、大人にもこの実践は役立つ。今日の自分の小さな成功に気づき、「よく頑張ったね」と自分に声をかける。それだけで、自己評価は少しずつ安定していく。人から褒められることが少ない育児中の親にとって、自分を認める習慣は、心の支えになる。

また、ネガティブ思考に偏りがちな脳の働きを、前向きな方向へと導く効果もある。島村さんは「3つの良いことに感謝する」実践をすすめている。

日常の小さな喜びに目を向けるだけで、脳はポジティブな情報をキャッチしやすくなる。この方法は、子どもにも有効だ。夕食や就寝前に「今日楽しかったことを3つ教えて」と声をかけるだけでも、子どもの幸福度はぐんと高まり、家族の会話も自然と増える。

教えてくれた人

島村華子さん

上智大学卒業後、カナダのバンクーバーに渡りモンテッソーリ国際協会(AMI)の教員資格免許を取得。日本人で唯一の、モンテッソーリ教育&レッジョ・エミリア・アプローチの2つを司る研究者。カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、オックスフォード大学にて、児童発達学の修士、博士課程修了。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員養成に関わる。


※この記事は、Kids Well-being Vol.01掲載記事より一部抜粋したダイジェスト版です。
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文/笹間聖子

Kids Well-being VOL.1(2026年春号)より転載

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