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【コラム】自ら課題を見つけ解決する“21世紀型人間力”とは?【栄枝慶樹】

小学生からメジャーリーガーまで、野球を通して“21世紀型人間力”を育むことを実践している栄枝慶樹さんの新連載がスタートした。弱小チームがアジア3位まで躍進した「子どもが自分で考える野球」とは?

 

自ら課題を見つけ解決する
“21世紀型人間力”とは?

皆さんは、「野球」にどんなイメージがありますか? 日本では歴史が長く、裾野の広い野球。だからこそ、坊主頭の強制や罵声を伴う指導などが根強く残っているスポーツでもあります。

何よりも僕がもったいないと思うのは、特に少年野球では「自分の頭で考えさせない」指導が主流であること。フォームを型にはめ、監督の指示に絶対的に従う……そんなやり方では、子どもが “本来の力”を発揮できないと、僕は考えています。

僕は今、プロ野球選手のエージェント会社を経営しています。また、小学生から大学生まで幅広い年齢の野球チームの監督も務めてきました。理念はどちらも、選手が「自ら課題を見つけ、自ら解決法を考え、自ら取り組んで解決する」のをサポートすること。AIやロボットが仕事を代替できてしまうこれからの時代、自分で考え、自分で動ける“21世紀型人間力”を育てることは、人生そのものにおいても大切だと考えています。
 

「“野球っぽいこと”をするな」
という恩師の言葉

僕がそう考えるようになったきっかけは、恩師との出会いです。僕自身、小学校から大学までずっと野球をしてきましたが、いつの間にか「考えない野球」に馴染んでいました。

そして、忘れもしない大学3年生のとき、所属していた学習院大学野球部に田辺隆二監督というベテラン監督が就任しました。てっきりうさぎ跳びでもやらされるかと思ったら、監督は黙って僕たちの練習を観察して、最後にこう言ったのです。「今日は一体何をしていたんだい? “野球っぽいこと”をしていたようだが、なぜ・・それをしているのか、説明できる人はいますか?」。その言葉で、僕たちは深く考えずに“野球っぽいこと”をこなしていただけだった、と思い知らされました。

それから田辺監督は、「自分で考える野球」を徹底して教えてくれました。僕たちも監督を心から尊敬し、結果としてリーグ戦12連勝まで躍進したのです。
 

30対0で負ける弱小チームが
アジア3位に

エージェント会社を立ち上げた頃に、息子が野球を始めました。ところが息子が入ったのは、毎試合30対0で負ける弱小チーム。他の親から頼み込まれ、僕が監督コーチをすることになりました。

そこで僕が実践したのは、「子どもが自分で考える野球」です。ラインに並ぶところから「なんで並ぶと思う?」と問いかける、ランニングも集団走ではなく自分の最適なペースで走るなど、すべてにおいて、子どもが自分で考えて取り組むようにしました。

試合はもちろん、ノーサイン野球。1人ひとりが自分で責任を持って動くよう徹底し、結果に一喜一憂はせずに、「何を考えてそうしたのか?」「なぜミスが起こったと思うか?」「上手くいったのはどうしてか?」と、目線を合わせて問いかけることを繰り返しました。その結果、3年生が6年生になる頃には東京3位に。そして中1(U12)の時には日本代表としてアジア大会銅メダルを獲得、全日本大会でも準優勝という大成長を遂げました。
 

自分で考えてやることで
あとから伸びていく力が育つ

特に印象的だったのは、アジア大会の準決勝です。最終回で、監督の僕は変化球が得意なピッチャーを提案しましたが、子どもたちは王道のエースピッチャーで勝負することを選択。結果、打たれて負けてしまいました。思わず「監督の采配なら勝てたんじゃないか?」と投げかけた僕に、子どもたちは号泣しながらも「自分たちで考えてやった結果だから、これでいいんです」と言ったのです。

僕はハッとしました。自分で考えずに勝つより、自分たちで考えてやりきり、その結果を次に活かす方が大切だと、子どもたちの方がよくわかっていたからです。今回は3位でも、これからもっと伸びていく力が育っている、と確信した瞬間でした。

これから計4回の連載で、僕が実践してきた具体的な方法や考え方を、いろいろな面からお伝えしたいと思います。スポーツをする・しないに関わらず、子どもの本来の力を伸ばすヒントになれば嬉しいです。
 

栄枝慶樹さかえだけいき

 
栄枝慶樹
 
プロ野球エージェント会社DIAMOND ALLIANS代表取締役社長。今永昇太(シカゴ・カブス)や源田壮亮(西武ライオンズ)ら多くのトッププロ選手を支える。学生時代は主将・4番としてチームを牽引。母校・学習院高等科の監督をはじめ、少年野球・中学野球と幅広いカテゴリーで監督を歴任。ポニーリーグのU10日本代表監督時にはアジアチャンピオンに輝く。

DIAMOND ALLIANS:sports-da.com
Instagram:@keiki_sakaeda

 

DAアカデミー

プロ野球選手のトレーナーも務める専門家による、子ども向け“科学的”野球アカデミー。セミパーソナル形式で、個人個人に特化した課題に寄り添い、解決に導く。
(東京3ヶ所・千葉・埼玉・兵庫・北海道)
 

 

KIDS FIT

栄枝さん監修の、運動を通し非認知能力を高めるプログラム。スポーツクラブ・ルネサンスの各店舗で実施中。
 

取材・文/征矢里沙

Kids Well-being vol.02 2026年夏号より転載

 

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