日本、アメリカ、ドイツ。育った国もキャリアも違う3人が、音楽を通じて出会い、立ち上げた子ども向けオンライン英会話スクール『Eigopop(エイゴポップ)』。3人を結びつけたのは「英語は、もっと楽しく学べるはずだ」という信念だった。創設者3人に、原点や教えることへの想いを語ってもらった。
【エイゴポップとは】
子ども向けオンライン英会話スクール。厳選された日英バイリンガル講師によるマンツーマンレッスンで、これまで累計29,000回以上のレッスンを実施。CEFR準拠のオリジナル教材は140以上、レベルはA1からPreB2までと幅広く、小学生のうちに英検2級に合格した生徒もいる。「カラオケde英会話」「ジェスチャーde発音」など、子どもたちが楽しみながら学べる教材・カリキュラム・アプリ設計まで、すべてを自社で開発している。
【プロフィール】
兼行真弓(ミミ先生)/共同創設者・教育担当
日本生まれ。20年以上にわたりアメリカ、ドイツ、インドネシアで生活。ロサンゼルスで3〜14歳の多国籍の子どもたちに音楽を教えた経験から、教材・カリキュラム開発を担う。
エリオット・フィードラー(Elliott Fiedler)/CTO
アメリカ・テキサス州出身。高校で日本語を学び、関西外国語大学へ留学。JETプログラムで来日し、小中学校で英語教師を務めたのち、プログラマーへ。Webアプリと技術基盤を統括。
ケン・ランクティー(Ken Rangkuty)/CEO
ドイツ生まれ、インドネシアにルーツを持つ。ヨーロッパ、アメリカ、アジアで生活。ロサンゼルスで音楽プロデューサー・作曲家として活動後、経済学とビジネスを学び経営へ。現在は日本在住。
1.音楽が3人を引き合わせた
――お三方の出会いは、教育の現場ではなく音楽だったそうですね。
. 最初の出会いは2008年です。「MySpace」という自主制作の音楽を載せるサイトがあって、そこで曲をシェアするなかで知り合いました。 .
. 私とケンはロサンゼルス、エリオットは日本に住んでいました。ルーツも、ケンはドイツ生まれ、エリオットはアメリカ、私は日本と違うけれど、オンラインで密に話をする関係でした。 .
ステージで歌うケンさん
――エイゴポップを創設したきっかけは何だったのでしょう。
. 私は当時、音楽の幼児教育に携わっていました。そこで気づいたのが、「言語って、音楽なんだな」ということです。イントネーションもリズムも歌にかなり近いですし、歌にすると子どもたちは喜んで覚えてくれる。だから英語も歌から入るといいのではないかと……。犬を散歩させているときに、突然そのアイデアが降りてきたんです。 .
ロサンゼルスの幼児教育で音楽を教えていたミミ先生
. そう。そうしたら「たしかに、歌や遊びを取り入れて英語を学べるシステムがあったらいいな」という話になって。 .
. ちょうどその頃、ぼくは英語教師からプログラマーに転職したタイミングでした。ぼくはプログラマー、ケンはビジネス、ミミは教師。3つの役割がぴったりはまって、自然な流れでアイデアが育っていきました。 .
――国も文化も違う3人だと、教育に対する考え方の違いでぶつかることもありそうです。
. それが実は、あまりぶつかることがないんです。意見を言うときに「なぜそう思うのか」という理由づけを、毎日のミーティングで時間をかけて話す仲なので。何を大事だと思っているのかは、常にお互いに伝えるようにしています。 .
. 音楽を通して、クリエイティブなものをゼロから形にしてきた共通点がありますからね。自分の役割も、価値観もわかったうえで共同作業をしている。だからスムーズだったんじゃないかな。それにぼくたちは、自分たちを英会話スクールというよりソフトウェア会社だと認識しているんです。システムをゼロから、みなさんに使ってもらいやすいように作ってきました。 .
音楽仲間と。三人には、クリエイティブなものをゼロから形にしてきた共通点がある
. そうそう、ディテールにこだわってソフトウェアを作っている会社だね。でも中心に置いているのは、あくまで人間同士の温かいコミュニケーション。そこを軸に、カリキュラムやソフトウェアデザインを考えています。 .
2. 興味を持って得た学びこそが、自分のものになる
――ミミ先生の原点は、ロサンゼルスでの一人のお子さんとの出会いだと伺いました。
. 家庭訪問型の幼児ピアノレッスンで教えていたお子さんです。ご両親はどちらも日系アメリカ人で、日本語があまり得意ではありませんでした。家庭では英語で話していて、お手伝いさんがメキシコの方だったので、2か国目の言葉がスペイン語になってしまう。それをすごく悩まれていて、「レッスンは日本語で教えてください」とご相談を受けたんです。 .
ミミ先生は幼児向けにピアノレッスンを行っていた
. でも、日本語がわからない子に「ページを開いてね」と言っても通じません。簡単な単語から教えようとしても、興味を示してくれない。ただ、彼女は歌うことがすごく好きなお子さんだったんです。そこで即興で「おはよう おはよう Good morning♪」と歌って、一緒に歌おうと誘ったら、すごく楽しそうに歌ってくれて。次の朝のレッスンから、自分から「おはよう」と言うようになりました。そこから、「赤とんぼ」や「シャボン玉」などを少しずつ歌っていくと、日本語そのものに興味を持ち始めました。お母さんにも自分から「ありがとう」「おいしい」と言うようになり、日本のアニメのDVDを見たりして、言葉をどんどん吸収していったんです。その姿を見て、言語と音楽は切り離せないと確信しました。 .
――日本では、単語も文法も知っているのに、英語だと黙ってしまう子も多いですよね。
. 私も、ドイツで日本の子ども向けオンライン英会話の講師を始めたときに、目の当たりにしました。間違えたくないから、先生がヒントを言うまで黙っている。そして、確実にわかるまで声も出さない……。正直、ショックでした。 なぜだろうと考えていたとき、こんなことがありました。単語カードで「dolphin」が出てきて、その子が思い出せずに黙っていたら、後ろでお母さんが「なんでわからないの、昨日やったでしょ」と怒鳴ったんです。その後、その子はずっと黙って、わかっている単語も言わなくなってしまいました。「こんな簡単なのもわからないの」「学校で一度やったのに」といった声が響きすぎているのかなと。英語が「楽しいもの」にならなければ、「自分にはできないもの」になってしまう。単語をポツポツつなげてでも自分の気持ちを伝えようとできる、自由な雰囲気が見過ごされているんじゃないかと感じました。 .
共にステージに立っていたミミさんとエリオットさん
. ぼくも日本の学校で英語を教えていたときに、気づいたことがあります。まず驚いたのは、授業の外の時間でした。給食も掃除も子どもたちがやるし、当番の子は毎日、職員室で先生と自分の言葉でやりとりする。アメリカでは職員室に行くのはトラブルを起こした子か生徒会長くらいで、ぼくは校長先生と一度も話したことがありません。日本の学校は小さな社会で、子どもは任されれば大人が思うよりずっと自分でできるんだと知りました。
授業のなかでも、先生が話して子どもがリピートするだけの授業では、声を出すのは一部の子だけ。でも上手に進める先生の授業は、導入から始まって、最後は子ども同士のゲームや活動へ、意図的にバトンを渡していく。間違えてもそのまま進むから、何度でも挑戦できるんです。エイゴポップのレッスンも後者です。先生が新しい言葉を紹介したあと、進むにつれて子どものアウトプットが増え、終盤にいちばん自由に話せる時間が来る設計にしています。当番の子が職員室で堂々と話すように、任される経験こそが子どもを育てると信じています。 .
――エリオットさんご自身も日本語の学習者ですが、その経験はどう生きていますか。
. ぼくは失敗の先生です。日本語では数え切れないほど失敗をしてきました。でも忘れられない言葉って、感情が動いた失敗の先にあるんです。恥ずかしさがあっても、学びは残る。だからエイゴポップには「カラオケde英会話」があります。レッスンの真ん中で子どもと先生が一緒に歌う。最初は歌いたくないという子も、慣れれば恥ずかしさは消えていきます。カラオケはひとつのコミュニケーションツールなんです。 .
. 歌っているうちに、いつのまにか声が出ているんだよね。 .
. そうそう。子どもたちに大切なのは、話す相手はこちらの失敗を待ち構えているわけではない、と知ることではないでしょうか。ほとんどの人は、相手を理解したい、理解されたいと思っている。だからレッスンで黙ってしまう子どもを見ても、「この子は英語ができない」とはまったく思いません。その沈黙のなかにあるのは、間違えたら恥ずかしい、笑われるかもしれないという、ぼく自身も何百回と感じてきた気持ちです。先生の役割は正解を要求することではなく、「間違えても大丈夫。私はあなたを理解したいだけ」という空気を作ることだと思っています。 .
. そのために先生方にお願いしているのは、「No」という否定の言葉を使わないことです。「間違ってるよ」ではなく、「That’s a nice try.」と、言葉を出してくれたことに感謝を伝える。そのうえで「こう言うともっといいよ」という訂正の仕方を心がけています。間違いを指摘されて悲しくなるより、トライしたことを褒めて、一緒にもっといい言い方をやってみる流れにしたいんです。 .
――ケンさんは、複数の文化のなかで育ってこられたんですよね。
. ドイツ、インドネシア、アメリカ、そして今は日本。異なる文化に囲まれて育ったことで、ものの捉え方はひとつだけではないと理解しました。 .
. その考え方は教材にも入っているよね。たとえば「漫画で英会話」という教材は、生徒さん自身が主人公になってアメリカで英語を学ぶストーリーです。ホームステイ先で靴を脱がないとか、日本とは違う習慣に主人公として出会って、驚いたり共感したりする。海外に行ったことがないお子さんでも、同じ年齢の子がこんなふうに生きているんだと疑似体験できます。 .
音楽活動をしていた時代のミミさんとケンさん
. ぼくたちは「学びはエンターテインメントだ」と言っています。学ぶことの喜びを伝えるのが大切だよね。 .
. 「楽しい」と思えるきっかけは、意外なところにあるんじゃないかと思う。レッスンでゲームをしたり、漫画を読んだり、歌ったりするのは、その子の興味が広がるチャンスになるからなんです。 .
. 自分が興味を持って得た学びこそが、自分のものになるんだよね。教えられたもの、与えられたものは、自分自身が掴んだ学びではないから、薄れていってしまう。
ぼくが音楽と言語は深くつながっていると考えるようになったのは、私自身の音楽を通した経験が原点にあります。リズムや音、メロディー、そして繰り返しには、すべてを意識的に理解する前から、人を惹きつけ、意味を感じさせる力があります。言語も同じです。子どもは歌を楽しむことで、自然と聴き、真似し、繰り返します。そして、その中から少しずつ言葉を身につけていきます。
だからこそぼくは、「やってみたい」という気持ち、ポジティブなフィードバック、そして長期的な学びは、一つの循環をつくると考えています。子どもは好奇心を持つとやってみたくなり、挑戦して小さな成功を経験すると、自信を持ってもう一度やってみようと思える。その繰り返しが力を育て、できるようになることで、さらに好奇心や意欲が生まれます。だから学びとは、知識を子どもに無理に詰め込むことではなく、好奇心が行動につながり、行動が成功につながり、その成功が「もっと学びたい」という気持ちを生み出す、ポジティブな循環をつくることだと考えています。.
ケンさんもピアノを弾いていた
――実際に、そんなふうに学んでいるお子さんはいますか。
. 歌が大好きで入ってきた小学生の女の子がいました。勉強が得意なタイプではなくて、レッスン中に踊り出しちゃうくらい歌を楽しむ子。その子がA1、A2のレベルを終えたとき、「もう一度A1からカラオケを歌い直して、もっと理解を深めたい」と言ってくれたんです。そうしたら、先生がメロディを「トゥトゥトゥトゥ」と口ずさむだけで、「あ、How’s the weather today? だね」と返ってくるようになっていました。まず音から入って、あとから「Howって、どうやってっていう意味だったんだ」と理解していく。そういう瞬間を見るたびに感動します。 .
エイゴポップのレッスンでのびのびと歌う女の子
3. 英語の先に育てたいもの
――英語を通じて子どもたちに本当に手渡したいものはありますか。
. IQではなくEQ、人間力と言えるような力です。英会話は、単語や文法を覚えるだけの教科ではないと思っています。言葉というツールを使って自分を表現する、自分の考えをより明確に伝えようとする。その過程で、目に見えない力が育つんです。 AIが発展して同時通訳が身近になり、「英会話なんてやる価値があるのかな」と考える保護者の方もいます。でも、自分の思っていることを日本語ではない言葉で伝えるのは、すごく大変な力を要するんですね。その経験を積むことで、自分とは違う常識のなかにいる人の在り方を理解する力が育つ。年齢の違う先生とマンツーマンで話す機会は、対話が希薄になりがちな社会でとても大事だと思います。 .
先生とマンツーマンで話すことで、異なる価値観を持つ人とのコミュニケーション力が育まれる
. 人間同士のコミュニケーションがぼくたちのコアにあります。AI相手の英会話のほうが手軽では、と思われるかもしれません。でも、子どもの表情を見て声をかけること、緊張に気づいて励ますこと、「伝わった!」の笑顔を一緒に喜ぶこと。その瞬間は、どんなに優れた技術でも置き換えられません。お子さんに合わせて先生が会話をしていくこと自体が、コミュニケーションの扉を開けていくんじゃないかと思っています。先生と一緒にひとつの記事を読んで「これについてどう思う?」「賛成か反対か」と話すコンテンツもあります。その会話がしたくて続けてくれている子もいるんです。 .
. 日本のお子さんは、教科書や筋書きがあることは上手にできるよね。でも、自分のストーリーをつくって人に伝えるのは少し苦手なところがある。 .
. どちらがいいという話ではなくて、環境の違いだよね。 .
. そうだよね。だからこそ、より広い世界を見て、違う人たちとコミュニケーションを取って、自分の立ち位置を知ってほしい。そうやって自分のストーリーを自分で自覚できるようになったらいいなと思います。 .
ミミ先生と笑顔でレッスンをする男の子
――点数や正解を求めがちな保護者に、伝えたいことはありますか。
. 英検や受験で結果を出すことも、もちろん力になります。実際、小学生のうちに英検2級まで進んだ子もいます。ただ、それは楽しく続けた結果であって、目標にしたものではないんですね。あくまで過程です。なぜそう思ったか、自分はどう感じるのか。内側から出てくる思いを表現できる力こそが、その子の学びの結果になると伝えたいです。 .
. 実際に海外の人や日本語を話さない人とどうコミュニケーションを取るかといえば、トライ・アンド・エラーです。点数が取れることと、実際に伝わることは、別の力なんですね。恐れずにチャレンジできるかどうかが、その先で問われます。
ジャッジされる恐怖は、子どもだけでなくどんな人間にもあります。そこを考えずに点数を見てしまうと、お子さんは今後どの分野でも出し惜しみをするようになってしまう。大切なのは、初めて話す大人に心をオープンにして、どちらも知っている言葉でなんとか伝えようとする経験。 言葉を学ぶことは、社会性を育てることでもあると思います。 .
楽しそうにレッスンを受ける女の子
――最後に、英語学習に迷っている保護者の方へメッセージをお願いします。
. ぼくが子どもたちによく言うのは、「Stay curious.」——好奇心を持ち続けて、ということです。親の役割として大切なのは、子どもが興味をそそられるものを与えてあげる環境を作ることではないでしょうか。英会話も、押し付けるものではなく、子どもが興味を持って取り組める教材、コミュニケーションのある学校を選ぶこと。それがその子の学びにつながっていきます。 .
. 知らない世界へ、一歩踏み出してほしい。英語は、そのための道具のひとつです。 .
. 笑顔と笑い声は、世界共通の言葉です。英語より先に届けたいものがあります。それは、子どもたちが安心して話せること。「伝わった!」という喜びを感じられること。そして「英語って楽しい」と思えることです。その積み重ねが、子どもたちの未来につながっていくと信じています。 .
4. まずは気軽にトライ! エイゴポップの無料体験レッスン
エイゴポップのレッスンは、4歳から16歳まで受けられる
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エイゴポップでは、日英バイリンガル講師によるマンツーマンの無料体験レッスンを25分×2回まで受けられます。歌やゲーム、オリジナル教材を使いながら、お子さま一人ひとりのペースに合わせて英語に触れられるレッスンです。教材の無料閲覧も可能。会員登録は不要で、入力は質問4つだけ。英語がはじめてのお子さまも、海外在住のお子さまも歓迎しています。
レッスンを担当する講師陣については、こちらの記事で紹介しています。
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eigopop(エイゴポップ)
取材・文:笹間聖子
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